漫画「スティーブ・ジョブズ」を読んでわかった、Macitnoshのプログラミングソフトでカーソルキー(矢印キー)が使えない理由


初代Macintosh開発時を振り返る1シーン。ヤマザキマリ「スティーブ・ジョブズ」より

■|128kとPlusでの大きな仕様変更

先日、MSBASICなどでプログラムの編集をしようとすると矢印キー(カーソルキー)が使えないので非常にやりにくいという話をいたしました。自分が使っているMacintosh Plusでは下の写真のように(今とは配置がずいぶん違いますが)きちんとついているのにもかかわらず、INPUT命令でもこれらのキーは入力がNullとなりまともに取得できないのです。

いまのキーボードと比べるともう色々違うが・・・

なぜこんなことになってしまったのかと思い愛読書でもある「スティーブ・ジョブズ」を開いてみると、こんな1シーンがあります。

カーソルキーがないことによりデベロッパー各社が対応を余儀なくされた、とある。

つまり、初代Macintoshのキーボードには「カーソルキー」がないということが切実に書かれています。そのためにデベロッパー会社、つまり開発ソフト販売元はこの特殊な仕様に合わせなくてはならなかったということが書いてあります。
そこで問題のキーボードを見直してみると・・・
HARDWARE secretsより。

か、カーソルキーがない!!

なるほど、この状態ではプログラム上でカーソルキーを意識する必要はありません。なので自然とデベロッパーソフトからもそのキーだけが排除された、ということになります。おそらく、Plusが発売された後のソフトウェアでもキーの認識ができなかったのは128k、512kなどとの互換性を意識してのものと考えられます。

■|ではなぜ「MacintoshBasic」ではカーソルキーを認識できたのか?

ここで問題になるのはこちらの記事で紹介した「MacintoshBasic」の仕様です。いろいろと調べてみましたがどうやらこのソフトはやはり「販売」はされなかったようです(マニュアル本は確認できたところで2冊ほど出ています。)
 ちなみに発表されたのは1984年。初代Macintoshが出された時で、上の写真のようにカーソルキーは影も形もありません。
 が、もし当時の開発者が「やはりカーソルキーはなくてはだめだ」と考え、機能として追加していたとしたら。販売が中止になった理由が、そんなジョブズの考えに反発したために開発者がAppleから追放されたからーと考えると、この機能一つにもドラマが見えてくるような気がします。

 当時マウスが登場し「これがあるならカーソルキーはいらない」と考えキーボードから取り払ったジョブズですが、これは「一部の利用者」しか見ていなかった大きな誤算だったと思わずに入られません。というか、プログラミングだけでなく文章編集でもカーソルキーは必須ではないか?と思わずにはいられない一コマなのでした。

最後に、ヤマザキマリさんの「スティーブ・ジョブズ」、めっちゃ面白いのでぜひ読んでみてください。(意外とマイナーで残念。)




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